プロのスキューバダイバーがおすすめするダイビング水中撮影・カメラ

水中写真













ダイビングの楽しみは、なんといっても非日常の風景にあります。崖や洞窟といった海中の地形や、群生する珊瑚礁とその周りに群れている魚達の光景は、ダイビングならではのものです。珍しい水中生物を観察することもできます。

ダイビングの時にしか目にすることができない景色を、写真や動画におさめることができるアイテムが水中カメラです。

最近では、簡単に使える高性能のカメラが発売されていたり、Wi-Fiでインターネットに繋いで、写真や動画をそのままSNSに投稿できる機能もあります。

この記事では、初心者から中級者向けの水中カメラとビデオカメラをご紹介します。

初心者から中級者向けの高性能カメラ

OLYMPUS デジタルカメラ STYLUS TG-860 Tough

魚影

性能

TG-860は、ワイドからマクロまで、幅広い撮影に対応している高性能のデジタルカメラです。コンパクトカメラとしては他に類を見ない、「ウルトラワイド21mm」の光学5倍ズームレンズが搭載されています。

私が使用した感触では、他のコンパクトカメラの1.5倍はワイドに撮れます。魚群や大物、沈船など、ワイドな対象を撮影するのに最適なカメラの機能です。

特徴

Wi-Fiに接続可能で、スマートフォン専用のアプリを使い、携帯やSNSにそのまま画像をアップすることができます。液晶が180°回転するので、自撮りする時に自身を確認しながら撮影ができます。

また、前面に自撮り用のシャッターボタンが付いているので、自撮りの撮影がよりスムーズに行えます。

ワイドモードでの撮影

水中写真

写真:フィリピンセブ・マクタン島 ポイント:タンブリ  TG‐860で撮影した海底30mに沈むセスナ機

マクロモードでの撮影

ウミウシ

写真:フィリピン・セブ・マクタン島  TG‐860で撮影した1センチ以下のウミウシの幼魚

マクロと呼ばれる1センチ以下の小さな生物を、とても綺麗に、しかも簡単に撮影することができます。ズーム機能の性能が良く、カメラを持って行くことができないような狭い場所にいる生物を撮影する時にも、大変助かります。

上の写真はTG-860を使ってマクロモードで撮影した写真です。写真の左側に写り込んでいるのは、私の人差し指です。被写体と大きさを比較するために一緒に写しました。

生物は「シロタエイロウミウシ」というウミウシの幼魚です。1センチ弱、といった体長ですが、おそらく1ミリにも満たない大きさの触角や、このウミウシの特徴である透明なボディの透けた様子を綺麗に写すことができました。

セールスポイント

多くの機能を持ったTG‐860ですが、ダイバーにとってなによりも嬉しい機能は、水深15メートルまでの防水機能です。

たとえ防水機能があったとしても、カメラにはハウジングという防水カバーを必ず付けて水中に持っていきます。ですが、ここでよく起こるのがハウジングの設定ミスによる「水没(すいぼつ)」です。

グリスをきちんと塗っていなかったり、カメラのストラップを挟みこんでいたりという原因で、ハウジングの隙間から海水がハウジング内に入り込むことを、ダイビング用語で「水没」といいます。

カメラを始めたダイバーなら、必ず一度は経験している事故が「水没」です。防水対応でないカメラの場合、その瞬間に壊れてしまいますが、このTG‐860は、防水なので水没しても故障する心配はありません。

中級者向けの高性能カメラ

OLYMPUS ミラーレス一眼 PEN Lite E-PL5

性能

素人の域を脱したいカメラマンダイバーにおすすめのミラーレス一眼で、プロ顔負けの写真を撮ることができます。

現在、女性を中心に水中にミラーレス一眼を持ち込むダイバーが増えています。メーカーの純正ハウジングには、合計8種類のレンズが収納できることから、撮影対象における選択肢が広がります。

特徴

水中の写真はどうしてもどれも青っぽくなってしまいがちですが、青被りしない設定が可能で、大変クリアな写真を撮ることができます。

太陽光による白飛びを抑え、透明感があり高彩度な画像を手に入れることができるカメラです。

ワイド撮影時

水中写真

写真:フィリピン・ボホール島・海洋保護区バリカサグ、E‐PL5を使用して撮影したドロップオフ

マクロ撮影時

ニモ

写真:フィリピン・ボホール島・海洋保護区カビラオ  E‐PL5を使用して撮影したカクレクマノミ

解像力においては、等倍マクロレンズでごく小さなマクロの被写体を細部まで大きく捉えることができます。

上の写真は、イソギンチャクの中に潜んでいる生物を、E‐PL5を使って撮影しました。カメラ目線で手を上げてこちらに挨拶してくれているようで、とっても可愛い海のアイドル、カクレクマノミです。

オレンジと白のメリハリがくっきりとついており、前ヒレの先の方の細部や、背中のウロコ、眼の輝きまでが細かく解像されています。また、イソギンチャクの地肌が持つ柔らかい質感を、しっかりとリアルに解像しています。

使用時に注意するポイント

カメラ

カメラの性能については、写真を見ていただければ一目瞭然ですので言及はしませんが、ここでひとつ知っておいて頂きたい注意点を!

このE‐PL5は写真の知識や技術において中級者向けなのですが、ダイビングの技術においても中級者以上である必要があります。このカメラ自体はとても小さくて軽いのですが、ハウジングが大きくて重いからです。

カメラの重量を踏まえたウエイトコントロールはもとより、呼吸だけで中性浮力をとれるダイビングスキルがなければ、このカメラで写真を撮ることは難しいと言えます。流れがある時など、ダイビングスキルに余裕がないと、カメラを深場へ落としてしまうこともあります。

ハンドルやストラップでカメラを固定することを、徹底しておきましょう!

水中カメラで動画を撮ってみよう

OLYMPUS アクションカメラ STYLUS TG-Tracker

水中撮影

性能

4K動画にも対応している高性能なビデオカメラです。驚くべきは、ハウジングなしでの防水性能が水深30メートルだという点です。さらに耐衝撃2.1mと、衝撃にも強いです。

アウトドアやスポーツシーン、特にダイビングに最も適したビデオカメラだと言えます。専用のスマートフォンアプリを使用することで、スマートフォンやタブレットで同時に動画を上映することができます。さらに、気圧、温度、方位などのフィールドセンサーが内蔵されています。

特徴

広角レンズが対角204°と大変広く、水中のワイドでダイナミックな景観を撮影することができます。同梱されている撮影用のグリップで、水中でも楽に撮影ができ、あらゆる場所に持っていくことができます。

本体に回転式の液晶画面が付いているので、水中やボート上で自撮りをする時に大変便利です。

使ってみた感想

水中写真

まず手にして感じたのは「すごく小さい」という驚きでした。そして「軽い」。従来のビデオカメラのイメージを払拭するスタイリッシュさと、高い性能を併せ持つ本機は、水中で動画撮影をするダイバーの人口を劇的に増やしました。

手ぶれ補正があるので、映像が大変安定していて、なによりも画質がとても綺麗です。撮った映像をボートに戻ってすぐに液晶で再生することができるのも、嬉しい機能です。電池の持ちが良く、ダイビング2本分は十分に撮影できます。

DBPOWER 4K アクションカメラ

水中写真

性能

4Kの高画質で録画することができます。高感度CMOSセンサーにより夜間や、光の少ない場所でも鮮明な画像を撮影することができます。

小さなボディと相反して、幅広い視野の170°広角レンズが搭載されているので、ワイドの撮影にも対応しています。無線LANモジュールが内蔵されているので、撮影後すぐにSNSに画像や動画をシェアすることができます。

特徴

付属のハウジングを使用した場合、水深30メートルまでの防水機能があります。付属のリモコンで最大15メートルの遠隔操作が可能で、集合写真を撮るのにも大変便利です。HDMI出力に対応しているので、撮影した動画や静止画をテレビなどの大画面で鑑賞することもできます。

使ってみた感想

ゴープロとほぼ同じようなタイプのカメラですが、ゴープロより値段が格段に安いです。ですが、機能や映像にさほど違いは感じません。

特筆すべきはなによりも「軽量」であるということ。海外にダイビングをしに行く時は、飛行機での重量制限がありますので、このカメラの軽さにいつも助かっています。

パソコンで充電することができるので、画像を編集しながら充電できる点が、とても便利です。

まとめ

水中写真

水中で撮影した写真や動画があれば、その日のダイビングを振り返った時、再びダビングの余韻に浸ることができます。水中で受けた感動を、その時の映像を見ることで再度噛みしめることができます。

また、水中で観察することができた生物を撮影している場合、ログブックを付ける時に大変役に立ちます。生物の画像があれば、図鑑やネットでその生物を調べて名前を知ることができ、生態を学ぶきっかけにもなります。

生物の生態がわかると、次に撮影する時により良い写真や動画を撮ることができます。特に海外でダイビングをする時には、その国にしか生息していない生物や植物と遭遇しますので、カメラは必須だと言えます。

ひとつ踏み込んだダイビングの楽しみである水中撮影に、ぜひチャレンジしてみましょう!